特発性正常圧水頭症(とくはつせいせいじょうあつ
すいとうしょう)

疾患症状について

特発性正常圧水頭症は、歩行障害(歩き方が小刻みになったり遅くなったりする)、認知機能障害(物忘れや意欲低下が生じる)、排尿障害(おしっこが近い)の3つの症状を引き起こします。

脳脊髄液という脳の隙間を満たしている液体が、脳室という場所に溜まりすぎることで生じるとされていますが、この病気が発見されてから約50年経った今でもはっきりとした原因はわかっていません。その症状は徐々に進行してくるということが知られており、そして早く手術を行ったほうが治療効果が高いとされています。

60歳以上で多いことが知られていて、近年の報告ではその数は10万人中120人、65〜70歳だけでも年間30〜60人いると言われています。患者さんの数はもっと多いのではないかという報告もあり、この病気の認知度が低い一方で患者さんはとても多いと考えられています。

検査・診断

歩行障害、認知機能障害、排尿障害の3つの症状のどれか1つでもある場合、CTかMRIを行います。この検査で特発性正常圧水頭症を疑う所見があった場合は、腰から細い針を使って脳脊髄液を抜いて減らす検査を行います。これをタップテストと呼んでいます。タップテストで症状が改善する患者さんには手術を行います。

治療法(手術)

溜まりすぎた脳脊髄液を体の他の部分に逃がすためのカテーテルを体内に埋め込む、髄液シャント術と呼ばれる手術を行います。流れる脳脊髄液の量を調整する小さな装置をカテーテルの途中に留置します。

経過

手術の前日か当日に入院していただきます。術後は最短で翌日に退院可能ですが、歩行障害の程度によってはしばらく入院でリハビリテーションを行うことがあります。退院後はすぐに日常生活に戻ることができます。